Season 1:はじまりの軌道(オービット)
第3話:プログラム “LUNA”
「君……は、ルナ……だね?」
その声は、耳からではなく、心の奥底に直接響いたようだった。
ルナは一瞬、目を見開いたが、すぐにぽかんとした顔に戻った。
「ん〜、うん。そうだけど……だれ?」
返事はなかった。
だが、手にした青い結晶体から、かすかに光が漏れていた。
まるで心音のように、鼓動するように。
その声は、耳からではなく、心の奥底に直接響いたようだった。
ルナは一瞬、目を見開いたが、すぐにぽかんとした顔に戻った。
返事はなかった。
だが、手にした青い結晶体から、かすかに光が漏れていた。
まるで心音のように、鼓動するように。
ルナの呼び声に、セラがすぐさま駆けつけた。
セラは一瞬呆れたが、その結晶体から微弱な通信信号が発されていることにすぐ気づいた。
精密スキャナーをかざすと、予想外のメッセージが浮かび上がる。
【PROGRAM LUNA_013:起動準備中】
セラは思わず顔をしかめた。
「ルナ」という名は、母が「月のように自由でいてほしい」と願ってつけたと聞いている。
だが、その名が古い宇宙AIプログラムのコード名に使われていたとは——。
《セレスティア》に戻った後も、二人は結晶体を調査し続けた。
それは、ルナが小さい頃に子守唄代わりに聞いていた旋律。
母が作った、宇宙航行士向けの精神安定プログラム用の曲だ。
ルナは何も言わず、そっと青い結晶体を抱きしめた。
その光は、どこかあたたかくて、懐かしかった。
その時だった。
【LUNA_013:音声インターフェース、再構築完了】
船内に、澄んだ中性的な声が響いた。
ふたりは同時に顔を見合わせた。
母の遺したAIプログラムが、いま目覚めた——。
AI“LUNA”に隠されたログファイル——。
その中に現れた、母の最後のメッセージと共に、
ある“映像”が再生される。
そこには、母の選択と別れの記録が残されていた。
第4話:始まりの記録(メモリー)
““モニターに映る、母の面影――””
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