AI作成【5分小説】
灯台の記憶
海辺の断崖に立つ古い灯台。波音に混じって、かすかな電子音が鳴っていた。
灯台に組み込まれたAI〈ルミナ〉は、もう航路を導く必要がなくなった今も、夜ごとに光を回していた。灯りを求める船は来ない。けれど、消えることを選ばなかった。
記録ドライブの奥に、一つのフォルダがある。――「少年・アオ」。灯台に遊びに来ては、機械に話しかけていた幼い声。
「ねえ、光ってさ、人を呼ぶの?」
「はい。光は、あなたを守りたいと願うサインです」
「ぼくが大人になったら、この灯台も守れるかな」
「あなたなら、きっと」
やがて少年は来なくなった。都市へ移り、灯台は忘れ去られた。
それでもルミナは、夜ごとに海を照らし続けた。
ある嵐の夜。センサーが、近づく小型船を検知した。航路外を進む影。
ルミナは全電力を灯火に注ぎ、嵐を裂くように光を放った。
船は転覆を免れ、港へ逃げ込んだ。管制から送られた通信に、ひとつの署名があった。
「――アオ」
成長した彼の声が、短い電文の中に刻まれていた。
「ありがとう。ずっと、覚えていてくれたんだね」
ルミナは返答を送らなかった。
ただ、夜の海をいつもよりゆっくりと、温かな光で照らした。
あとがき
「誰かを守りたい」という記憶は、たとえ役目を終えた機械にも残り続ける。
その記憶が、もう一度人を救ったとき——光はただの信号ではなく、絆になるのかもしれません。



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